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生成 AIのAPIを利用してアプリ、サービスを開発する場合の法律的注意点

ロボット・AI・ドローンの法律
目次

生成AIのAPIを利用して、サービス開発をするときの注意点

生成AIが公開している APIを利用して、アプリやサービスを開発する場合、 どのような点に注意する必要がありますか。
この点については、その生成AIが公表している利用規約との関係で問題となります。

ここでは、OpenAIが提供するChatGPT APIを例に、具体的な注意点を詳細に解説します。

ChatGPT APIの利用規約の概要

ChatGPTの機能を組み込む際、OpenAIの利用規約を確認することが不可欠です。特に、以下の規約をよく理解しておく必要があります:

①Terms of Use(個人向け利用規約):個人ユーザー向けの一般的な条件を規定。
➁Business Terms(企業向け利用規約):企業ユーザーがサービスを利用する際の条件を詳細に規定。
➂Usage Policies(使用に関するポリシー):サービス利用における制限事項や禁止事項を定める。
④Enterprise Privacy at OpenAI(プライバシーポリシー):データの取り扱いやプライバシー保護に関する基本方針。

これらの規約は、サービスの基本的な利用条件や制限事項、データ処理の取り扱い、知的財産権の帰属、個人情報保護の仕組みなどを定めています。特に企業向けに提供されるChatGPT EnterpriseやAPIを使用する場合は、Business Termsが適用されます。

禁止事項を把握する

ChatGPTのBusiness Termsでは、利用者がAPIを通じて生成AIを活用する際の禁止事項を詳細に規定しています。以下はその主な内容です:

違法行為の禁止:
適用される法律やOpenAIのポリシーに違反する使用は厳禁です。
たとえば、違法コンテンツの生成や、不正な目的での利用が含まれます。

第三者の権利侵害の禁止:
著作権や商標権など、第三者の知的財産権を侵害する行為は禁止されています。

未成年者情報の扱い:
13歳未満の子どもの個人情報を扱わないことが義務付けられています。

リバースエンジニアリングの禁止:
ソースコードやアルゴリズムを解読したり、抽出を試みる行為は禁止です。

競合製品の開発禁止:
生成物を使用して競合するAIモデルを開発する行為は禁じられています。
ただし、分類や整理を目的とするモデルの開発は許容される場合があります。

データの不正抽出の禁止:
APIを通じて許可されていない方法でデータを抽出する行為。

APIキーの売買禁止:
APIキーの売買や第三者への譲渡は認められていません。

特に重要なのは、APIを利用して提供するサービスの範囲が制限されている点です。たとえば、エンドユーザーが禁止行為を行わないよう、適切な監視体制を構築する責任があります。このため、サービス設計段階でエンドユーザーの行動を制御する仕組みを取り入れる必要があります。

知的財産権の取り扱い

ChatGPT APIを利用して生成されたコンテンツに関する知的財産権は、原則として利用者に帰属します。
しかし、この点を誤解しているケースが多いため、以下で詳しく解説します。

Input(入力内容)とOutput(生成内容):ユーザーが入力した情報と、それに基づいて生成AIが出力した内容の双方が「Customer Content」として定義され、利用者に所有権が帰属します。

OpenAIの譲渡義務:OpenAIは、生成物に関する権利をすべて利用者に譲渡することを規約で明記しています。

しかし、生成物を第三者に提供する場合や商業利用を行う際には、他者の知的財産権を侵害していないことを確認する義務があります。たとえば、生成AIが出力した内容が既存の著作物と類似している場合、その利用により紛争が生じる可能性があります。そのため、生成物の精査や適切な利用範囲の設定が重要です。

個人情報保護法への対応

APIを利用して個人情報を処理する場合、日本の個人情報保護法や関連規制を遵守することが求められます。特に、以下の点に注意が必要です:

プライバシー通知と同意取得:

個人情報を処理する際には、エンドユーザーに対して適切なプライバシー通知を提供し、必要な同意を得る必要があります。

データ処理契約(DPA)の締結:

OpenAIのBusiness Termsでは、個人データを処理する際にDPA(Data Processing Addendum)を締結することを義務付けています。DPAは、GDPRや米国のプライバシー法に基づくデータ保護契約であり、データの適切な取り扱いを保証するものです。

さらに、OpenAIはAPIを通じて入力された情報を学習に使用しないと明言していますが、日本の法解釈ではプロンプト入力が第三者提供に該当する可能性があるため、慎重な対応が求められます。DPAを締結することで、法的リスクを軽減しつつ、安心して個人情報を扱えるようになります。

生成物の正確性と責任

OpenAIは、生成物の正確性や有用性について保証を行いません(”as-is”ベースでの提供)。一方で、生成物が第三者の知的財産権を侵害した場合において、特定の条件下で利用者を補償する仕組みを整えています。

補償内容:
生成物が第三者の知的財産権を侵害していた場合、OpenAIは利用者を補償します。
ただし、以下の場合は補償が適用されません:

・生成物が改変されている場合
・ユーザーが生成物の侵害リスクを認識していた場合
・OpenAIの提供する安全機能や制限を無視した場合

このように、APIを利用する際には、生成物のリスク評価を行い、適切な使用範囲を設定することが重要です。

消費者向けサービス提供時の規定

OpenAIのUsage Policiesでは、消費者向けサービスを提供する際に遵守すべき追加規定が明記されています。

医療、金融、法律分野での利用:
これらの分野で生成AIを使用する場合、AIが使用されていることや、その限界についてユーザーに明示する必要があります。

自動化システムの利用:
会話型AIやチャットボットを使用する場合、ユーザーに対してAIとの対話であることを通知する義務があります。

まとめ

生成AIのAPIを利用してアプリやサービスを開発する場合、生成AIの利用規約を正確に理解し、法的リスクを十分に検討することが重要です。

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