事業者と求職者をつなぐプラットフォームサービス。
日本は、人材不足が深刻で、事業者としても、採用したいというニーズが高まっています。
そこで、事業者と求職者との間に入って、マッチングさせるプラットフォームサービスを展開する場合、法律的には、どうなのでしょうか。
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ここで問題になるのが、職業安定法上の「職業紹介」に当たるかです。
職業安定法は、企業による労働者の労働者の募集・職業紹介・労働者供給について規制している法律です。
職業紹介事業を行う場合は、原則として行政(厚生労働大臣)の許可が必要になります。
「職業紹介」とは、職業安定法上は「求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあっせんすること」とされています。
つまり「雇用関係の成立をあっせん」がポイントになるのです。
「職業紹介」は、あくまで「雇用契約」に関するものです。
クラウドソーシングサービスのように、仕事を発注したい人と受注したい人のマッチングは、業務委託(請負)契約のあっせんであり、「雇用契約」のあっせんではないので「職業紹介」には当たりません。
「あっせん」とは、判例によれば、求人および求職の申込を受けて求人者と求職者の間に介在し、両者間の雇用関係の成立のために便宜をはかり、その成立を容易ならしめる行為をいうとされています。
ポイントは「便宜をはかり、その成立を容易ならしめる行為」を行っているかどうかです。転職エージェントのように、事業者の要望、求職者の要望をヒアリングし、紹介して、就職させるものなので、「職業紹介」に当たります。
事業者と求職者を結び付けるマッチングサイトは「あっせん」にあたるのでしょうか。
この点、判断基準については、厚生労働省が、「民間企業が行うインターネットによる求人情報・求職者情報提供と職業紹介との区分に関する基準について」というガイドラインを公表しています。
それによれば、以下のいずれかに該当する場合には、雇用関係成立のあっせんを行うものとして、「職業紹介」に該当するとされています。インターネットによる求人情報・求職者情報提供は、次の1から3までのいずれかに該当する場合には、職業紹介に該当する。
プラットフォーム事業者が、自ら積極的に事業者又は求職者に連絡を行い、応募又は採用の勧奨、採用面接日時の調整、情報の追加的提供等を行うことは、雇用関係成立のための便宜を図るものといえ、職業紹介に該当します。
これらを全てインターネットで行っても、職業紹介に該当します。
プラットフォーム事業者が「貴方にふさわしい仕事を面倒見る」、「貴社に最適の人材を紹介する」等とうたって事業者又は求職者を募り、当該事業者又は求職者に対し、あっせんしようとする求人又は求職者の事業所名、氏名、電話番号等をインターネットを通じて提供することは、全体として職業紹介に該当します。
プラットフォーム事業者のホームページ上にある求人の事業者又は求職者に対し、事業者又は求職者が当該ホームページを経由して電子メールを送信することにより直接オンライン上で応募又は勧誘できる仕組みを設ける場合には、このことによって「職業紹介に該当するものではない」とされています。
職業安定法上の「職業紹介」に該当する場合には、厚生労働大臣の許可を受ける必要があります。
そして、これを無許可で行うと、1年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。
以上のように、プラットフォーム事業者として、職業安定法上の「職業紹介」に該当しないようにするためには、事業者と求職者のやり取りに介入しないことが必要です。
あくまで、事業者と求職者が直接のやり取りをするプラットフォームという位置づけを守るようにしましょう。