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シェアリングサービスは法的に問題ないの?カーシェアリングを例に弁護士が解説!【2023年1月加筆】

シェアリングエコノミーが流行!

個人が持つ住宅や自動車などを貸し借りする「シェアリングエコノミー」と呼ばれるサービスが、広がりをみせています。代表的なのが、「Airbnb(エアビーアンドビー)」や配車サービスの「Uber(ウーバー)」です。

そんな中、DeNAが、個人間で車をシェアするAnyca(エニカ)というサービスを開始しました。

このようなカーシェアリングに関する法規制には、どのようなものがあるのでしょうか?

 道路運送法上の「自家用自動車有償貸渡事業」にあたるか?

日本では、道路運送法上、「自家用自動車有償貸渡事業」にあたるかが問題になります。

つまり、(1)自家用自動車を「業として」(2)「有償で」(3)「貸し渡す」ためには、国土交通大臣の許可を受けなければいけないのです。

このような事業の最たるものは、レンタカー事業者ですが、レンタカー事業者は、この「自家用自動車有償貸渡事業」の許可を受けているのです。

では、個人間で自分の車を貸し出すことも、「自家用自動車有償貸渡事業」に当たるのでしょうか?

問題は、上記「業として」にあたるのかということです。どこまでやると「業として」に当たるのかは明らかにされていませんが、
判例などでは、継続して一定の貸し出しを行っている場合には、「業として」にあたるとされています。

カーシェアリングサービスは、どのようにしているのか?

それでは、現在展開しているカーシェアリングサービスは、どうやって上記法律をクリアしているのでしょうか?

「Anyca」は、「共同使用契約」方式

「自家用自動車有償貸渡事業」に当たると許可が必要になるのですが、例外として、車の所有者と借りる人が車を共同使用している場合には、上記許可はいらないとされています。

Anycaでは、車の所有者と借りる人の間で「共同使用契約」を締結するというスキームを採用し、上記許可は不要であるとしているのです。

Anycaでは、「共同使用契約」であることを明確にするため、利用規約に以下の定めを置いています。

  1. 車の所有者と車を借りる人は、当該車の取得や維持に必要な費用を共同負担する
  2. 法人の利用禁止
  3. 使用期間は6ヶ月以上とすること

シェアリングサービスは、ビジネスモデルの法的検討が不可欠

このAnycaのスキームについては、法的に問題ないのかは議論の余地があります。

今年の1月には、国土交通省は「まだ合法とは言えない」との見方を崩しておらず、レンタカー業との違いがわかりにくく、調査を続けているという報道もなされました。

参考記事:DeNAのネット仲介カーシェア、合法?違法?国交省「?

このように、新しいサービスには、既存の法律の壁が立ちはだかります。シェアリングサービスでいえば、上記「業として」の基準があいまいなところが問題といえます。

いずれにしても、新しいサービスを立ち上げる際には、既存の法律に抵触しないか、じっくりと検討することが必要なのです。