シスム開発の現場には、「SES契約」というものがあります。
「SES」というのは、「システムエンジニアリングサービス」の略で、簡単にいうと、システム開発の現場にエンジニアを提供することによって対価を得るという契約です。
この契約では、「作業時間あたり○○円」といったように、エンジニアの能力や工数、時間などによって、対価が決定されることが多いです。
システム開発の現場は、エンジニア不足と言われて久しいですが、それを補う方法として、重宝されているのです。
SES契約は、エンジニアを提供した人数と時間数と単価によって、料金が決まります。
あるシステムを完成させることによって、料金を得ることが請負契約なのに対して、システムが完成するか否かを問わず、人数や時間数で料金が決まるSES契約は、法律上は「準委任契約」ということになり、実際の現場では「業務委託契約」などの名称で、契約されることが多いと思います。
そして、この契約では、ベンダ側のSEが、ユーザー企業に常駐し、ユーザー企業の担当者から直接指示命令がある場合があります。
しかし、このような受入先(ユーザー企業)が、ベンダ側の指揮命令ができるのは、労働者派遣の場合だけであり、労働者派遣事業法により、厳格な規定されています。
つまり、労働者派遣を行うには、法律で定められた規定を遵守し、行政からの許可が必要になるのです。つまり、ユーザー企業がベンダ側のSEに対して、直接指揮命令することは、ベンダ側が労働者派遣事業の登録を受けていなければならないのです。
しかし、この労働者派遣事業の登録は、事業者にとってはハードルが高いので、SES契約などの形態が一般化しているのです。
以上のことからすると、SES契約といっておきながら、実際はユーザー企業に常駐し、ユーザー企業の担当者から指揮命令を受けているケースが多いのではないかと思います。
先ほどみたように、このようなケースでは、労働者派遣事業法上、違法になってしまうのです。
労働者派遣事業法上、違法になってしまうと、刑事罰などもああります。
そうならないためには、受入側の担当者が、常駐しているSEに直接指示を出さないようにする体制を整えることが必要です。
これは、実際の運用面もそうですし、SES契約書などの規定面においても、同じです。
具体的にどのようなことを行えばよいのでしょうか。続きは次回に!