システム開発の現場では、当たり前に行われているSES契約。
この契約形態は、場合によっては、法律上違法になってしまう可能性があることは、このブログでも指摘してきました。
SES契約は労働者派遣?偽装請負にならないためにはどうすればよいの?
SES契約が「労働者派遣」と言われないための具体的対策は何をすればよいですか?
平成27年9月には、労働者派遣法の改正がなされました。これは、労働者保護を鮮明に打ち出した改正内容になっています。
また厚生労働省も、労働政策審議会の中で、労働問題での「指導監督の強化」を打ち出しました。
現に、厚生労働省から企業への助言・指導申出件数が、9471件、あっせん申請件数が5010件と、行政からの締め付けも厳しくなっているのです。
では、事業者としては、どういう対策をとればよいのでしょうか?
そもそも、SES契約で問題となるのは、クライアント企業に常駐して、システム開発行為を行う場合です。
その現場に行っている人が、クライアント企業から、業務上の指示などを受けている場合には、労働者派遣ということになってしまい、労働者派遣業の登録が必要になります。
労働者派遣業の登録を行っていないと、「偽装請負」になってしまい、法律違反になってしまうのです。
出典:厚生労働省
労働者派遣業の登録をするという選択肢もありますが、労働者派遣業に登録すると、以下のような義務が生じます。
他にも、登録するためには、様々な要件がありますので、派遣業登録するかは自社の状況に合わせてよく考えましょう。
「偽装請負」にならない形で、SES契約を行うためには、どうすればよいのでしょうか。
厚生労働省のガイドラインでは、「偽装請負」にならないための4つの施策を挙げています。
そして、具体的には、以下のような形態をとることが考えられます。
①SES提供会社と受入会社との間で、SES契約書及び施設設備等の賃貸借契約を結ぶ。(※受入会社で作業するということは、受入会社のスペースを借りていることになるので、賃貸借契約を締結する。)
そこで、SES契約のほかに、施設設備等の賃借契約を結ぶことが必要で、厚生労働省としても、施設設備等の賃借契約を結ぶことを求めてます。
②SES提供会社は、現場で作業する人のほかに、現場責任者及びその代理者を選び、受入会社からの連絡などは、その現場責任者が受けるようにしておく(契約書にも、その旨を記載しておく)
各契約書の記載も、偽装請負にならないように調整する必要があるのです。
事業を行う上で、事業が軌道に乗ってきたときに、法律に違反していて、行政からストップがかかるというのが一番のマイナスです。
事前に手当できるところは、しっかりと対策をしておきましょう!