IT法務・AI・暗号資産ブロックチェーンNFT・web3の法律に詳しい弁護士|中野秀俊
グローウィル国際法律事務所
03-6263-0447
10:00~18:00(月~金)

ロボットが問題行動を起こしたときに、誰が責任を取るのか?

ロボット・AI・ドローンの法律

もしも、ロボットが予想外の問題行動を起こしたら

これからはロボットの時代とよく言われます。ビジネスの世界でも、ロボットの活用が叫ばれていますが、ロボットが何らかのトラブルで、問題行動を起こした場合には、誰がどのような責任を負うのでしょうか?

例えば、映画館や水族館などで警備用ロボットが施設内を巡回していたとしましょう。そこに幼児が通りかかったが警備用ロボットが幼児を認識できず、幼児とぶつかって幼児がケガをしてしまった!

このような場合に幼児は、誰に対して、どのような請求をすることができるのでしょうか?

施設側に損害賠償請求をすることができるか?

まず、幼児側としては、警備用ロボットを使っていた、映画館や水族館の施設を運営する者(会社)に対して、民法上の不法行為に基づく損害賠償を請求することが考えられます。

しかし、ここで一つ問題があります。上記のような損害賠償請求をする場合には、当該施設運営する者に、故意または過失(うっかり)が必要になります。

ここで、ロボットの誤作動が、当時の技術水準からして、誰にも予測できないものであった場合(原因不明の誤作動の場合)などは、当該施設運営する者に過失がないことになり、損害賠償を請求することができなくなってしまいます。

ロボットのような最先端技術の場合には、このような原因不明の誤作動を起こすことが考えられるので、被害者は、損害賠償を請求できなくなる可能性があるのです。

ロボットメーカーを相手に損害賠償請求することができるか?

また、被害者の幼児は、ロボットのメーカーに対して、製造物責任法という法律に基づいて、損害賠償を請求することが考えられます。

この製造物責任法は、損害賠償が認められるのに、故意・過失の要件が必要ないとされており、被害者の立証責任が緩和されています。

もっとも、この製造物責任法でもロボットの欠陥と損害との間に関連性があることを立証する必要があります。

ロボットの構造は、複雑であり、様々なソフトウェアにより、制御されていることを考えると、一般の方が、ロボットの欠陥を主張立証することは困難が伴うかもしれません。

以上のように、ロボットが想定外の誤作動を起こしてしまった場合には、被害者は損害賠償を請求できない可能性が生じてしまうのです。

ロボットの利便性と規制法

以上のように、我々の生活の中に、ロボットが活用されると、様々な影響が生じることになります。

我々に予想だにしなかった影響が生じた場合、どうやって保護をするのかも問題ですが、あまり規制を強化しすぎると、ロボットの発展を阻害してしまいかねません。

どのようなルールを作っていくべきか、我々法律家だけでなく、ロボットにかかわる全ての人々が議論していくテーマであると思います。