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オンラインゲームにおけるRMT(リアルマネートレード)に対して気を付けるべき3つのポイント【2023年4月加筆】

RMT(リアルマネートレード)の法規制

ソーシャルゲームにおいて、ゲーム内通貨やゲームキャラクター,アイテム等が,現金によって取引される、RMT(Real Money Trading)

RMTが頻繁に行われる場合には,ゲームの通常の運営を妨げる事態が生じたり,ゲーム外でのユーザー間トラブルが生じるなど,様々な問題が発生する可能性があります。

そこで,事業者としては、どのような対応をとりうるのでしょうか。

利用規約における対応

まず,必要なのが、利用規約においてRMT行為を禁止すること。その上で、RMT行為が行われた場合の制裁措置を利用規約に明記しておくことが必要です。

制裁措置の種類としては、アカウントの停止や,ユーザー資格の剥奪,違反行為により得たアイテム等の没収が考えられます。

著作者人格権による損害賠償請求

ゲーム運営事業者には、開発したゲームにつき、著作者人格権の一つとして、同一性保持権というのがあります。これは、自分の著作物について、勝手に変えられない権利のことをいいます。

大規模なRMTが行われた場合,ゲームのストーリー展開を大きく変えてしまうことも想定され,このような場合には,著作者人格権の侵害という問題も生じる可能性があります。

ゲーム内の主人公に設定されるパラメータをコントロールするメモリーカードを輸入・販売する者に対して,このメモリーカードの使用は,ゲームソフトを改変し,著作者人格権(同一性保持権)を侵害するものとの判断がなされ,不法行為に基づく損害賠償責任が認められています(最高裁平成13年2月13日第三小法廷判決)

刑事罰などの可能性

RMT行為については,BOTやチートツール等が使用されることもあります。これらの使い方によっては、ソーシャルゲームの運営自体が困難になるような事態も想定されます。

そのような場合には,電子計算機損壊等業務妨害罪(刑法234条の2)の成立も考えられます。

また,RMTをするために、他人になりすましてアカウントを不正使用する例も見られます。このような行為は、不正アクセス禁止法によって禁じられている犯罪に該当します。

実際に,サーバーへ不正アクセスし,ゲーム内仮想通貨を作出・売却し,利益を挙げていたゲーム会社従業員が逮捕され、ゲーム会社からの損害賠償請求が認められた事例もあります。

事業者としては、RMTについて、民事刑事上の手続きを速やかにすることが必要になります。
速やかに手続きできるように、事前の準備をしっかりしておきましょう!