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アイドルの恋愛禁止条項って法律的にどうなの?を弁護士が解説。

法律時事ニュース

アイドルは恋愛禁止?

先日行われたAKB48選抜総選挙で、20位を獲得したアイドルの方が、突如結婚は発表して物議を醸しました。

20位須藤さん、結婚宣言の衝撃 「まるで詐欺」批判殺到 「既成概念崩す」評価も

恋愛禁止がルールだったAKBでまさかの結婚宣言。

彼女に投票したファンが、つぎ込んだ金額が、1000万円以上ということもあり「詐欺ではないか」という声もある一方、「結婚自体はおめでたいこと。恋愛禁止というルールそのものが、おかしいのでは?」という声もあります。

AKBのアイドル達が、所属事務所との契約で「恋愛禁止」となっているかは分からないですが、仮に契約事項に「恋愛禁止」と記載されている場合、このような条項は、有効なのでしょうか?

恋愛禁止条項って、有効なの?

日本の法制度の大前提として「契約自由の原則」というものがあります。

つまり「契約は当事者で何を定めてもいいですよ。法律と違ったことを定めてもOKです!そうやって当事者で定めたものなので、必ず守ってくださいね。」という原則です。

ただし、人権を侵害するような条項については、例え契約で決めても無効となる場合があります。

日本国憲法24条では「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立」するとしており、自由意思による結婚が、人権として定められています。

そうすると、結婚の前提となる恋愛も、自由意思によるべきであり、恋愛禁止条項は、無効となる可能性もあります。

恋愛禁止を破ったら、損害賠償できる?

それでは、事務所と所属タレントが、恋愛禁止の契約を結んでいたとして、それを所属タレントが破った場合に、事務所は、所属タレントに対して、契約違反による損害賠償などはできるのでしょうか?

これには、最近、2つの判例が出されています。

2015年9月18日判決

女性アイドルグループのメンバーの1人が、所属事務所と契約締結からほどなくして、ファンの男性とラブホテルに入った。そのファンがラブホテルに2人でいる様子を写真撮影し、他のファンに知らせたことが原因で事態が発覚。グループが解散するに至る。

所属事務所は、この女性アイドルに対して損害賠償請求したというものです。

この事案で裁判所は、女性アイドルに対して、239万円の損害賠償を認めた上で、所属事務所においても恋愛禁止について指導管理がなされていなかったとして、所属事務所に過失が4割あることを認めました。

この判決では、以下のような事情があげられています。

  1. 芸能プロダクションは、最初に初期投資を行いアイドルをメディアに露出させ、そこから人気を上昇させ、その上で投下資本の回収を図ると言うビジネスモデルであること
  2. 女性タレントが契約締結に契約内容について、所属事務所と読み合わせの上、納得してサインしていること
  3. 女性アイドルグループと言うのは、メンバーが男性ファンから支持を獲得し、チケットなどをより多く購入してもらうため、メンバーが異性との交際を行わない事については合理性があり、恋愛禁止条項自体にも一定の合理性が認められること
  4. 異性とラブホテルに入ること自体は違法ではないが、女性アイドルは本件交際が発覚すれば女性アイドルグループが解散するなどの活動に支障がきたすことが容易に認識できたこと

2016年1月18日判決

ライブなどを無断欠席したアイドルが、所属事務所に対しアイドルを辞めたいと申し出るなどしていたところ、所属事務所が、当該アイドルが男性と交際するようになって、ライブも放棄するようになったと主張して、損害賠償を請求したと言う事案です。

この点においては所属事務所からの損害賠償請求については否定されてました。裁判所は、以下のようなことをあげられています。

  1. ファンは、アイドルに対して、性的清潔さを求める傾向が強く、アイドルが異性と性的な関係を持つ事が発覚すればファン離れが起きると言う事は世間一般に知られていること
  2. 所属事務所としては、恋愛禁止条項を設けることについては、一定の合理性があると言える
  3. ただし人の恋愛感情と言うものについては、重要な人の感情であり、交際する異性と性的な関係を持つという事は自己決定権の1つとして重要である
  4. 以上の点からすると、ちょっとアイドルが性的な関係を異性と思ったということを理由に、損害賠償請求することは上記のような自由な意思決定を制約するものである
  5. よって、所属事務所が恋愛禁止条項違反で損害賠償できる場合は、アイドルが所属プロダクションに積極的に損害を生じさせようと言う意図(害意)がある場合に限られると言うべきである

このように判例をみても、事案によって、判断が分かれています。

恋愛禁止条項違反=損害賠償ではない

上記をみても、恋愛禁止条項に違反し、恋愛をしたからといって、直ちに損害賠償を請求できるわけではありません。

所属事務所も、女性タレントをしっかり管理・監督するこことが求められているのです。


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