IT法務・AI・暗号資産ブロックチェーンNFT・web3の法律に詳しい弁護士|中野秀俊
グローウィル国際法律事務所
03-6263-0447
10:00~18:00(月~金)

食品日用品の配送でドローンを使う場合の法律をドローンに詳しい弁護士が解説!

ロボット・AI・ドローンの法律

食品日用品の配送でドローンを活用

配送についてドローンを使うという計画が、楽天やアマゾンなどのインターネット通信販売業者を中心に計画を立てられています。

アマゾンは、北米でドローンによる配送実験に成功するなど、サービス化に向けて、着々と準備を進めています。
では、日本において、配送でドローンを使う場合、法律的な規定はあるのでしょうか?

航空法に基づく規制

倉庫からドローンを使って日用品を配送する場合については、遠隔操作を行うことになります。

このような「目視」によらないドローンの飛行については、事前に国土交通大臣の承認を得ることが要求されています。

「目視」とは、ドローンを操縦する人が、直接、自分の目で見ることをいい遠隔操作の場合や補助者による監視の場合は含まれません

また配送を行う場合には、住宅地域などの人口集中地区の上空をドローンが飛行することが多いと思います。このような住宅地域などの人口集中地区の上空を飛ぶ場合にも、国土交通大臣の許可が必要なります。

また、地上の人又は物件との間に、30メートル以上の距離を保たない飛行を行うのであれば、国土交通大臣の承認が必要になります。

さらに第三者の上空を飛行する場合には、国土交通大臣の許可承認を得るための基準がさらに厳しくなります。

25キロ未満の重量の機体の場合も、機体については、飛行を継続させるための高い信頼性のある設計であること、飛行の継続が困難となった場合に、機体が直ちに落下することのない安全機能を有する設計がなされるなどの安全対策が欠かせません。

人が居住する地区の配送を行う場合、第三者の上空を飛行するということは避けられないため、事業者としては十分な安全確保を行う必要があるのです。

他人の土地の上空を飛ぶ場合の規制

民法207条は、家の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶと定めています。

土地の上限に及ぶという文言のみからすれば、地上何メートルの高さであっても所有権が及ぶように読めます。

とすると、ドローンが、土地のはるか上空を飛行してる場合、私の土地の上を飛ぶのであれば、私の同意が必要といえるのでしょうか。

この点については、法律では明確に定められていないところなのですが、上限に及ぶといっても限界があると考えられています。
つまり、飛行機が飛ぶような高さの上空については、そもそも土地の所有権が及ばないとする見解です。

具体的に「何メートル」というのは難しいですが、ドローンがある程度の高さで、移行する場合には、他人の土地の利用権については侵害していないと言える場合が多いでしょう。

ただし、都会のビル群などにおいては高層のビルも多いことから、たとえ100メートル上空を飛んでいたとしても利用権が侵害されているといえる場合もあります。

また、ドローンの騒音やその危険性などから、慰謝料といった別の形で、周辺住民から法的請求される可能性はあります。

そこで事業者としては、ドローンの安全対策を十分に行った上で、早朝や夜間といった時間帯を避けるなどの配慮が必要になってくるでしょう。

政府も、「小型無人機の更なる安全確保に向けた制度設計の方向性(案)<概要>」において、プライバシーの保護や第三者の土地の上空飛行について、ガイドラインの周知や自主的ルールの策定を促進することが明記されており、今後の方向性が注目されています。