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Fintech事業者が気をつけるべき本人確認方法(犯罪収益移転防止法)

仮想通貨・デジタル通貨に関する法律

「仮想通貨事業者」もマネーロンダリング対策が必須に!

金融機関が行う業務というのは、マネーロンダリングに利用されることが多々あります。

このマネーロンダリングを防止するために、日本では「犯罪収益移転防止法」という法律が定められています。

犯罪収益移転防止法の目的は、マネーロンダリングの防止と、これらの行為が行われたときに、事後的に資金のトレースを可能にすることです。

このため、この法律では、金融機関に対して、取引の相手方が誰であるのか確認する(本人確認)や過去の取引履歴について記録し、マネーロンダリングの疑いがある取引があった場合には、届出を行うなどの措置が義務付けられています。

そして、2016年5月25日に成立した仮想通貨に関する法案では、「仮想通貨交換事業者」にも、犯罪収益移転防止法上の特定事業者として、上記のようなマネーロンダリング対策を行うことが必須とされました。

それでは、具体的にどのようなことをする必要があるのでしょうか?

取引時の本人確認

金融機関は、顧客などとの間で「特定取引」と呼ばれる一定の取引を行う際に、顧客の本人特定事項や顧客管理事項と呼ばれる事項を確認することを義務付けられています。

「特定取引」とは、例えば、以下のような取引を言います。

  1. 預貯金口座の開設
  2. 200万円を超える大口現金取引
  3. 10万円を現金送金

そして、これの取引を行う際に、必要とされる確認事項は、以下の通りです。

出典:サービスオフィス協同組合 犯罪収益移転防止法への取り組み

確認資料、取引記録の作成・保存義務

金融機関等は、上記のような本人確認を行った場合には、確認内容を記録し保存することが義務付けられています。

また、一定の取引を行ったのであれば、取引期日や記録し保存することが義務付けられています。

疑わしい取引の届出義務

金融機関等は、本人確認の結果や取引内容から見て、マネーロンダリングをしているという疑いがある場合には、速やかに監督官庁(金融庁など)に届出を行うことを義務付けられています。

本人確認等を的確に行うための措置

金融機関等は、上記のような措置を的確に行うために、継続的な顧客管理や社内の態勢の整備に努めるよう義務づけられています。

非対面式取引での本人確認措置方法

オンライン取引などの非対面取引の場合には、本人確認はどのように行うのでしょうか?
以下のような本人確認措置が求められています。

①本人確認書類の写しを送付してもらう

顧客から本人確認書類の写しを送付してもらい、当該書類に記載された顧客の住所に宛てて、会社からの必要書面を転送不要扱いで書留郵便により送付する。

本人確認書類の写しの送付方法は、郵便、メール、アプリによる画像の送付などの方法があります。

②本人限定受取郵便を利用する

本人限定受取郵便を利用して、転送不要扱いで会社から必要書類を送付する方法。郵便事業者が、顧客の住所、本人確認書類の提示を受ける方法。

仮想通貨事業者をはじめ、Fintec事業者も本人確認措置の検討を

前述の通り、「仮想通貨事業者」は、法律上、顧客の本人確認措置をきちんと行う必要があります。どのようなルールにするのか、きちっと法律を把握して、ルールを明確化しましょう!