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株式型クラウドファンディング1号決定!株式型クラウドファンディングの法律とは

インターネット法律

株式投資型クラウドファンディング登録 第1号

株式投資型クラウドファンディングとは、非上場株式の発行により、インターネットを通じて多くの人から少額ずつ資金を集める仕組みです。

先日日本において、日本クラウドキャピタルが、関東財務局への第1号の登録を終えました。

参考記事:株式型クラウドファンディング1号決まる 日本経済新聞

それでは、この株式投資型クラウドファンディングは、どのような規制があるのでしょうか?

金融商品取引法の改正により、導入しやすい制度に

株式などの「有価証券」を、発行者以外のものが、取得することの勧誘を行うことは、金融商品取引法上の「第一種金融商品取引業」の登録を受ける必要があります。

この「第一種金融商品取引業」の登録は、非常に大変。そこで、2014年の金融商品取引法の改正により、以下の2点を条件に、第1種少額電子募集取扱業者という新たな登録制度が設けられました

  • 株式・ファンド持ち分の発行価額の総額が1億円以下であること
  • 投資者一人当たりの払込額が50万円以下であること

第1種少額電子募集取扱業者とは、最低資本金として1,000万円を用意すれば第一種少額電子募集取扱業者としての登録が受けることが可能となりました。

これは、通常の第一種金融商品取引業者の最低資本金が5,000万円(業務内容によっては最大30億円)であることを考えると、大幅な参入要件の緩和です。

また、通常の第一種金融商品取引業者では兼業規制があり、行うことができる業務が金商法上列挙されています。それ以外の業務を行いたい場合には、内閣総理大臣(金融庁長官)の承認が必要となっています。

しかし、第一種少額電子募集取扱業者は、このような兼業規制がかからないため、他業種からの参入が容易となっているのです。

ほかにも、金融商品取引責任準備金の積立義務等が適用されないなど、緩和措置が取られています。

資金調達者への規制

株式を発行し、資金を集めようとする事業者については、原則として、有価証券届出書の提出、目論見表の作成交付などの発行開示手続きをとることが必要です。

もっとも、株式・ファンド持ち分の発行価額の総額が1億円以下であれば、この規制が適用されないため、株式型クラウドファンディングでは、資金調達者への負担は大きくなく始めれられるのも特徴です。

ただ、資金調達者としても、株式型クラウドファンディングで資金を調達した場合には、多数の小口の株主が発生することになります。このことにより、株主管理コストの増加、多数の株主が議決権を持つことによる企業経営の柔軟性が失われる可能性もあります。

そのため、資金調達者である企業は、資金調達後の株主構成や資本政策の点も含めて、株式型クラウドファンディングを導入するかを決定する必要があるのです。