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弁護士が語る!アプリ開発のトラブルになる事例から学ぶトラブル対処法【2022年6月加筆】

アプリ開発のトラブル事例から学ぶ

私のもとには、アプリ開発のトラブル事例が多く寄せられています。企業としても、事前にトラブル事例を知ることで打てる対策もあるはず。

そこで、今回は、アプリ開発で揉めることが多いトラブルについてお話します。

アプリ開発範囲の特定・責任の所在を明確化する

アプリ開発は、目に見えない部分も多いため、後から「こんなはずではなかった」というトラブルになりがちです。そこで、最初どのようなアプリ開発をするのかという範囲を特定する必要があります。

業務内容を明確化するべく、例えば仕様書を契約書に添付して、業務内容を具体化しておくようなことも一般的に行われています。

また、委託者・受託者の責任の範囲も明確にする必要があります。たとえば、開発したアプリが、「App Store」などのプラットフォームのリジェクト審査基準に抵触し、アプリを配信することができなくなった場合、どのように責任を取るのかということが問題になります。

このような場合に、受託者は審査が通るまで修正を行う必要があるのか、またその修正は無償か有償かといった紛争が、多くおきているのです。

このようなことを未然に防ぐために、契約書等で事前に定めておきましょう!

納品・検収方法を確定をしっかり決めておく

また、受託者側が仕様書と一致するものを作成したとして、委託者側が「納得できない」などとクレームをつける例があります。

その結果、検収を理由なく不合格とし、追加の開発を無償で求めてくるようなどのトラブルが多数あります。

このようなトラブルを回避するために、契約書などで以下のような対応をしておくようにしましょう!

  • 検収の対象を「仕様書と一致しているか否か」に限定する
  • 委託側で検収不合格とする場合には、具体的に不合格の理由を明示する
  • 検収不合格の理由が受託者側にない場合には、無償での追加開発は行わない(追加開発をする場合には、有償とする)

アプリ開発における知的財産権の処理をどのようにするか

また、開発したアプリの著作物を、どうするのかも、トラブルになりやすい原因です。

成果物の納品(または、委託料を支払った)と同時に知的財産権も委託側に移転させることが多いです。
しかし、受託者側としては、委託者側にすべて知的財産権が移転してしまうと、一度開発した成果物を次の開発においてはまたゼロから開発しなおさなければならなくなります。

その結果、開発費が高騰し、委託者側にとっても、よくない事情が生じます。

そのため「同種プログラム・システムに共通に利用されるノウハウ、ルーチン、サブルーチン、モジュール」等については、知的財産権は移転されず、受託側に残されたままになるといった契約をすることも増えています。
その分、開発費を抑えて、委託者・受託者の双方が得をするようにしているのです。