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人の遺伝子情報であるゲノム情報は個人情報に当たるのか?【ゲノムと個人情報保護法】

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ゲノム情報は個人情報保護法の対象となるのか?

医療関係者のみならず、今注目されているゲノム情報。このゲノム情報について、個人情報保護法の適用があるのかということが議論されています。

ゲノム情報は、個人の遺伝子情報なので、個人情報であるようにも思えます。個人情報を扱う法律としては、個人情報保護法があります。この個人情報保護法は、2015年9月に改正され「個人情報」の定義に、以下の要素が加わりました。

  • 身体の一部の特徴をデジタル化した符号などの「個人識別符号」
  • 人種や病歴などの「要配慮個人情報」

人の遺伝子情報である「ゲノム情報」は、この個人情報保護法上の「個人情報」に該当するのかが問題になるのです。個人情報に当たれば、収集するデータについては、本人の同意が必要になるなどの規制がかかります。

ゲノム情報は、個人の遺伝子の情報であるから、究極の個人情報とも呼ばれています。そのことを考慮すると、当然ゲノム情報も「個人情報」に当たるとなりそうです。

しかし、すべてのゲノム情報が「個人の同意」が必要になってしまうと、ゲノム情報の研究活動などに影響を及ぼします。そこで、ゲノム情報について、個人情報との関係で「どのように整理するのか」が問題となるのです。

ゲノムの情報を3つの分類

この点については、厚生労働省「ゲノム情報を用いた医療等の実用化推進タスクフォース」から、平成28年1月22日に「改正個人情報保護法におけるゲノムデータ等の取扱いについて」という報告書が提出されました。

この中で、ゲノムに関する情報を以下の3つの分類しました。

  • 遺伝子を構成する4種類の塩基配列を「ゲノムデータ
  • 塩基配列を基に、人が病気のなりやすいなどの分析・解釈を加えた「ゲノム情報
  • ゲノム情報のうち子孫に受け継がれる「遺伝情報

そして、「ゲノムデータ」は「個人識別符号」ゲノム情報と遺伝情報は「要配慮個人情報」とする方向でまとまりました。

ただし「ゲノムデータの個人識別性は、多様であり科学技術の進展等により変化し得る。」とし、その具体的範囲は、個人情報保護委員会が、海外の動向や科学的観点から解釈を示していくとしています。

個人情報保護委員会とは、2016年1月に新設された個人情報の取扱いに関する監視・監督(立入検査、報告徴求、指導、助言、勧告、命令等の権限の行使)をする機関です。今後は、個人情報保護委員会に判断を委ねる形になります。

研究の発展とプライバシーとの関係が問題に

上記のような方針について、ゲノム解析の研究者からは、国内外の共同研究やデータベースとのデータの共有を行わなければ研究が進まないため「それが制限されると困る」といった声や、臨床研究を行う医師からは診療録のデータを使用する臨床研究で「数年経過した後に再度解析し直す場合などは、患者から直接同意を取ることは現実的に不可能」などの意見があがっています。

ゲノム情報はビジネスへの利活用も期待されているところであり、あまりに法律で規制してしまうと、その発展を妨げてしまいかねません。

政府も、現在、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」等の見直し「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」の見直しが進められています。

平成28年度中に改正案が提示される予定となっており、今後の動向が注目されます。


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