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【資金決済法】仮想通貨・ポイントは、原則払戻しが禁止~払戻しができる場合とは~

仮想通貨・ポイントは、原則払い戻しが禁止

仮想通貨・ポイントでは、払戻しを原則として禁止されています。

これは、払い戻しを認めてしまうと、出資法が規制する「預り金」や銀行法が規制する「為替取引」に当たる恐れがあることが理由です。

前払式支払手段(仮想通貨・ポイント)を払い戻せる場合

もっとも、払戻金額が少額である場合、その他の仮想通貨・ポイントの発行の業務の健全な運営に支障が生ずるおそれがない場合には、例外として払戻しを認めることとしています。

具体的には、以下の三つの場合に払戻しを行うことができるとされています。

  1. 基準期間における払戻金額の総額が、直前の基準期間の発行額の100分の20を超えない場合
  2. 基準期間における払戻金額の総額が、直前の基準日未使用残高の100分の5を超えない場合
  3. 保有者のやむを得ない事情により前払式支払手段の利用が著しく困難となった場合

(1)及び(2)については、払戻しの理由を問わず上限の割合に達するまで払戻しは可能です。

(1)は、発行額を基準としており、(2)は、基準日未使用残高を基準としていますが、発行者はいずれの基準も任意に選択することができます。

(3)の「保有者のやむを得ない事情」とは、地域限定の前払式支払手段について、利用者が域外に転出したような場合が典型例とされています。

ウェブサービス利用者が、ウェブサービスを任意に退会したときに、仮想通貨・ポイントが利用できなくなった場合には、「やむを得ない事情」があるといえるかは微妙なところで、利用規約などに、当該事項が記載されているかなども影響してきます。

経済産業省のガイドラインでは、「必要に応じて期中にあっても払戻実績を把握することとするなど、法令に定める上限を超えて払戻しが行われることを防止するための態勢を整備」することを求めています。

事業者としては、(1)又は(2)に基づき払戻しに応じる場合には、必要に応じて払戻金額を把握し、法令に定める上限を越えないよう十分管理することが必要なのです。