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クラウドサービスの利用によって「損害」を被った場合の対処法

IT企業のための法律

ウェブサービス(クラウドサービス)で損害を負ったら

ウェブサービスなどを利用していて、損害を負ってしまう場合があります。

例えば、クラウドサービス、レンタルサーバを利用していて、預けていたデータが消失してしまった場合などが、その典型例です。

そのような場合、利用者としては、どのような法的請求ができるのでしょうか?

クラウド事業者などのデータ保全義務

クラウド事業者については、自らの行為によって、サーバ内のデータを消失させてはならないという義務が課せられています。

これに反し、事業者側がデータを消失させてしまった場合には、法律上の責任(債務不履行又は不法行為)が生じます。

利用規約に記載された免責事項の効力は

通常、クラウドサービス事業者などについては、利用規約(約款)などで、免責規定を置いています。

その中では、次のように事業者が責任を負わない規定になっていることが多いです。

当社は、システムの過負荷、システムの不具合によるデータの破損・紛失に関して一切の責任を負いません

また、上記に加えて、以下のような条項も付け加わっていることが多いです。

本サービスの利用に関し当社が損害賠償義務を負う場合、契約者が当社に本サービスの対価として支払われた金額を、損害賠償金額の上限とします

利用規約も同意すれば、契約の内容になりますので、その内容に縛られます。では、上記のような条項がある場合には、利用者は、事業者に責任を追求できないのでしょうか?

この点ですが、事業者に、故意または重過失がある場合には、このような条項は無効とした裁判例があります(最高裁平成14年9月11日)

故意は、「わざと」という意味ですが、重過失とは、裁判例で、ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態を指すとされています。

このような、事業者が「わざと」行った場合、または「わざと」行ったと評価できるほどの重大なうっかりをした場合には、上記のような事業者が責任を負わない規定というのは、無効になる可能性があるのです。

損害賠償請求で「請求できる金額」はいくら?

たとえば、クラウドサービスにあげていたデータが消滅してしまった場合に、契約者は事業者に対して、いくらの損害賠償を請求できるのでしょうか?

これについては、まず、どのようなデータが消失してしまったのかという点の立証が、非常に困難です。特に、損害賠償を請求する契約者は、バックアップを取っていなかった者が多いと思います。

また、仮に、データが消去したことにより、どのような損害を被ったのかも、立証することは困難です。

裁判例では、消失したデータの再作成費用を認めた判例(東京地裁平成13年)、障害によるデータ喪失がなければ得られたであろう利益逸失利益)が認められた例もありますが、認められるためには、相当高いハードルがあります。

このように、法律上の責任があるが、損害の算定が難しい場合に使えるのが、民事訴訟法248条「損害額の認定」という制度です。

これは、損害が生じたことが認められる場合において「損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときは、裁判所は…相当な損害額を認定することができる」という制度です。

上記のように、相手方に責任はあるけど、いくら損害を受けたのかの立証が難しい場合には、非常に使える制度です。

もっとも、契約者としては、裁判所が相当な損害額を認定できるような資料の提出は必要になります。

契約者もバックアップする義務がある

ただ、クラウドサービスを利用している契約者は、クラウドに資料に預けているから、安心していいというわけではありません。契約者には、バックアップする義務があるとされています。

裁判例でも、契約者がバックアップを取らなかったことについては、契約者に落ち度があるとして、事業者の損害賠償額から半分を控除した金額の請求のみが認められるとしました。

クラウドサービスのトラブルによる影響を最小限に抑えるためにも、バックアップをとっておくことがいいでしょう。


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