不特定多数に向けたチラシなどの広告が消費者契約法に基づく差し止めの対象となるかが争われた事件で、最高裁は、「不特定多数に向けられていることを理由に差し止めの対象から一律に除外することはできない」との判断を示しました。
参考記事:チラシも消費者勧誘物 最高裁、差し止め対象と初判断
消費者契約法では、適格消費者団体という規定があります。
適格消費者団体とは、消費者に代わり不当な契約条項や勧誘の差し止め訴訟を起こせる国認定の団体です。上記請求について、事業者から消費者に対する「勧誘」行為が対象とされ、この「勧誘行為」は、消費者に対する個別の勧誘行為などが対象とされていました。
インターネット上の広告などは、適格消費者団体などが、差止請求をしても、事業者は、そもそも対象外として、突っ張ねることができたのです。
しかし、今回の最高裁判例で、不特定多数人を相手にする広告表現についても、適格消費者団体の差止請求の対象となる可能性があるという判断をしたのです。
これにより、適格消費者団体は、今回の最高裁判決によって、ECサイトの表現・広告についても、差し止め請求をしてくることが考えられます。
事業者としては、今回の最高裁判例を受けて、ECサイトの商品説明や広告表現についても、法律違反にならないように、注意して記載することが必要になってきました。
では、事業者として、どのような場面で気を付ける必要はあるのでしょうか?
消費者契約法では、以下のようなことに注意が必要です。
例えば、商品説明などについて、事実と異なる表現(この商材を買うと、必ず儲かる!など)を用いてしまった場合はどうなるのでしょうか。
このような表現は、ECサイト事業者や情報商材事業者からすれば、やってしまいがちですが、今後は消費者団体から訴訟提起などがされてしまう可能性があるので、注意が必要です。
今回の訴訟でも、適格消費者団体が訴えて、事件が始まりました。
また、最近でも、消費者団体が、ライザップに対して、返金保証の広告について、削除要請したことで話題になりました。
参考:ライザップ広告 誤解招く?「30日間全額返金保証」…消費者団体が削除要請
また、サニーヘルスのボイセンベリーという商品に対して、消費者に「優良誤認」を与えるものと指摘しています。
参考:サニーヘルス適格団体が「優良誤認」指摘、視覚改善で一部表示を削除
以上のように、不特定多数人に向けられた広告についても、消費者契約法上の差止の対象となりました。
事業者としては、どういう表現を使用してよいのか、悪いのかを的確に選別する必要があるのです。