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ブロックチェーンに関する法律問題を仮想通貨に詳しい弁護士が解説。

仮想通貨・デジタル通貨に関する法律

法律面から見るビットコインなどの基幹技術であるブロックチェーン

仮想通貨ビットコインなどの基幹技術であるブロックチェーン。技術的なことはよく分からなくても、何となく聞いたことはあるという方も増えてきているのではないでしょうか。

仮想通貨の「ブロックチェーン技術」でビジネスの世界が大きく変わる!

今回は、技術的なことは置いておいて、ブロックチェーンを法律面から見ていきたいと思います。

ブロックチェーンをしたサービスに法令上の許認可必要か

ブロックチェーンは分散型のコンピューターネットワークであり、コンピュータ上の記録台帳のようなものです。これを利用すること自体については、法令上の許認可不要です。

もっとも、ブロックチェーンを利用したサービスを展開するにあたっては、改正資金決済法や金融商品取引法などの規制がかかる可能性があります。

よって、ブロックチェーンを使ったサービスごとに、法的検討が必要なのです。

ブロックチェーン上の記録は、証拠能力があるのか

ブロックチェーン上の記録について、例えば、裁判所で証拠として採用することができるのでしょうか?

ブロックチェーンはまだ新しい技術であるため、公の証拠として認められるのかが問題となります。アメリカにおいてはブロックチェーン上の記録について証拠として認められるとした判例があります。

仮想通貨の「ブロックチェーン技術」を裁判の証拠として認める法律が米国で可決間際!

一方、日本の民事訴訟については、何でも証拠になるとされています。極端なことを言うと、日本の場合には、割りばしの袋だろうが、日記だろうが、証拠になります。

よって、ブロックチェーン上の記録についても、裁判上で、証拠として認められるのです。

ただしブロックチェーン記録が、そのまま判決で採用されるかと言うと、それはまた別問題です。ブロックチェーン上の記録を、判決にどのように組み込むかは、まさに裁判官の自由裁量に任されています。

ブロックチェーン上の記録は、改ざん可能性が極めて低いことが特徴ですので、このことについては、かなり信憑性を持って裁判官にも受け入れられると思います。

ただし裁判官も、最新技術については、精通しているわけではないので、ブロックチェーンの仕組みから改ざん可能性が低いことは、きちっと説明する必要があります。

ブロックチェーンを不動産取引に使う場合の法律的課題

ブロックチェーンの活用方法としては、不動産の権利移転の証明方法(不動産登記の代わり)として使われるのではないかと言われてます。

不動産の権利移転については、今の法律でも、当事者の意思表示のみによって成立します。

そして、この権利移転について、当事者以外の第三者についても主張できるようにするのが、不動産登記と言う制度です。

不動産登記をすることによって、その不動産の権利関係を第三者についても言えるようになるため、不動産の売買や抵当権の際には、不動産登記をすることが重要なのです。

そうすると、ブロックチェーン上で不動産の売買を記録するというサービスを提供する場合、その法的効果としては当事者間で売買や抵当権の設定が行われたということが、改ざん可能性は極めて低い方法で証明されているということにとどまります。

ブロックチェーン上で、不動産の権利移転が記載されていたとしても、当事者以外の第三者に対して自分が所有者であるとか抵当権者であるといったことが主張できないのです

今後、不動産の権利移転については、ブロックチェーン上の記録でもよいとされる法律ができるのは、かは分かりませんが、そのような制度にするためには、ブロックチェーン上の記録が事後的に改ざんされたり失われたりする可能性がないことを保障し、それが認知される必要があります。