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人工知能が判決する?!「AI裁判官」の出現で訴訟の現場が劇的に変わるかも!?【2022年11月加筆】

ロボット・AI・ドローンの法律

イギリスで「AI裁判官」が発明へ

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のニコラオス・アレトラス博士らが、人工知能の「裁判官」を開発したとのニュースが報道されました。

参考記事:人工知能で判決を下す「裁判官AI」を開発、訴訟時間の短縮化が可能

ついに、裁判官もAIが…という感じですが、法曹界もAIの影響を受けることになりそうです。

裁判官の仕事は、事実認定と法(判例)適用

裁判官という仕事は、当事者が主張する事実について、証拠などを照らし合わせて、
(1)本当はどういう事実があったのかを認定し(2)それに法律(判例)を当てはめるというものです。

(2)のこの法律を調査したり、従前の判例を分析したりするのは、まさにAIの得意とするところ。

  • 民事事件では、過去の判例を分析して、今問題となっている事件の結論を出す
  • 刑事事件では、過去の量刑などを分析して、当該事件の量刑を出す

こういったことは人間よりも、AIの方が優れているといえるでしょう。

(1)については、売買契約書があれば、売買契約があったものと認定するという学習をさせると、AIも適切な事実認定が出来そうです。

ただ、実際の裁判では、契約書がないことが多く、他の間接事実(メールや預金通帳の履歴、第三者の証言)などから総合判断して、契約の事実を認定することがあります。

このような裁判官の「総合判断」というのは、実際の裁判でも多く用いられています。

ここのところを論理立てて分析し、AIに学習させれば、裁判官がAIに取って変わる日も近いのかもしれません。

弁護士もAIに取って代わられる!?

弁護士業界の中でも、AIを導入している例があります。

アメリカの法律事務所であるBaker & Hostetleは、法令調査用人工知能「ROSS」を導入したことを発表しました。

ROSSに質問をすると、ROSSはデータベースから法律や証拠を収集した上で、その結論や関連の高い情報を返してくれ、最新の判例をウォッチし、弁護士とのやりとりを学習し、経験を積んで成長するというのです。

参考記事:人工知能「Ross」が弁護士事務所に就職

こうなってくると、弁護士業界も、AIにとってかわられる可能性があります。特に、法令調査や判例調査、契約書チェックなどは、AIに代替されることになっていくでしょう。

ただ、弁護士の仕事のうち、大事な部分を占めるのは「法律相談」です。ここをAIが代替できるのか問題があります。

現在のAIでは、対話でのコミュニケーションは、まだまだ未発達の分野ですし、自分の不満を機械に聞いてもらうということで、本当に依頼人が満足できるのかという問題もあります。

最新技術で、法曹がいらなくなるのは、良いこと?

弁護士の私がいうのもなんですが、AIが発展することによって、法曹業界が仕事が減っていくとしたら…

それはそれで、世の中のためになっているのではないかと思います。

やはり、司法って、コストがかかりますし、金銭的にも時間的にも、コンパクトになるのであれば、みんなが喜ぶ社会が来るのではないかと。

最近ではAIだけでなく、ブロックチェーンやスマートコントラクトなどの技術などにより、契約の自動化が行える時代になっています。

参考ブログ:弁護士や裁判所が不要になる日が来る?イーサリアムの革新的サービスで契約が自動化へ。

ロンドンに拠点を置く法律事務所Selachiiは、ブロックチェーン技術による法的契約書のデジタル化を進めています。

参考記事:ロンドンの法律事務所、ブロックチェーンで「訴訟契約」の自動化目指す

このような最新技術により、我々法曹界はどうなっていくのか、注目していきたいです。